50代から始める次の働き方!誰もが持つ可能性を考える

スキルの活かし方

「定年前後、再就職なんて…」と思っていませんか? バブル期に大量採用された世代も、いよいよ定年前後の時期に差し掛かりましたね。でも、人生100年時代。これからも働き続ける必要があります。それにしても、今の仕事を続けるにしても、転職を考えるにしても、悩みは尽きませんよね。

私もキャリアコンサルタントとして色々な方々と接してきた経験から、50代の転職における現状をよく理解しています。同年代の求職者が増える中、企業からは「今の時代に即したスキルやITリテラシー、柔軟な思考力」といった要件が示されることも多く、多くの方が戸惑いを感じていらっしゃるのが実情です。
「これからの生き方」や「働きかた」に関する書籍や雑誌を手に取ると、そこで紹介されているのは、大手企業での管理職経験者や、専門性の高い資格保持者の事例が中心となっています。確かにそうした方々の経験談には学ぶべき点が多くありますが、「自分の状況に合った具体的な一歩は何だろう?」と考える方も少なくないでしょう。

実は、キャリアの選択肢は私たちが思うよりもずっと広がっています。これまでの職務経験や、日々の生活の中で培ってきた様々なスキルは、必ず新しい可能性へとつながっています。大切なのは、まず自分の可能性を見出すことから始めることです。

そこで今回は、そんな“普通のバブル入社組”に向けて、「次に働く場所」を見出すための現実的な戦略をお伝えします。

経験をスキルとして置き換えて活かす

まずは、「普通の自分」を受け入れ、これまでの経験をスキルに置き換えることから始めましょう。大企業での華々しい実績がなくても、社内調整力や部下の指導経験、顧客対応の経験などは、どんな業界でも重宝される能力です。
たとえば、「会議の進行役として場をまとめた経験」は「ファシリテーションスキル」になりますし、「顧客対応での問題解決」は「クライアントマネジメントスキル」に相当します。

このように、日常的に積み重ねてきたことをスキルとして言語化し、次に働く場所でどう活かせるかを考えることが大切です。
大事なのは、自分を過小評価せずに、持っているスキルを再認識し、具体的に活用方法を見出すことです。

ITスキルは「今さら」ではなく「自力で今から」身につけるべき理由

多くの指南書で「ITリテラシーが重要」と言われることに、「自分も会社ではITに触れてきた」と思うかもしれません。しかし、会社員時代のITスキルは、組織のサポートがあったからこそのもの。いざ組織を離れ、自力でスキルを高めようとすると、誰も助けてくれない現実に直面します。思った以上に大変に感じることも多いのです。

再就職やフリーランスでは、社外の人とのスムーズなコミュニケーションやデータ共有が必須になります。たとえば、Googleドライブでのファイル共有や共同編集、SlackやTeamsでのチャット管理、Trelloでのプロジェクト進行管理、Zoomでのウェビナー運営や動画編集などが必要になる場面が増える、もっと言うといきなり直面する場面がに直面します。これらのスキルは、オンライン講座やYouTubeのチュートリアルを活用し、1日30分でもコツコツと学ぶことで身につきます。
焦らず、「今から」始める意識が大切です。

求人はあるが…体を動かす仕事が増える現実

50代や60代での再就職でも、求人が「全くない」というわけではありません。ただし、実際に求められる仕事は、デスクワークよりも体を動かす仕事が圧倒的に多くなるのが現実です。たとえば、物流センターでの仕分け作業、工場での製造補助、さらには介護施設でのサポート業務など、現場での対応力が重視される仕事が多いのです。

これらの仕事は、確かに体力的な負担が大きく感じられることもあります。しかし、社会を支える大事な役割であり、「経験を活かした柔軟な対応力」や「人と接する力」が求められる重要な仕事です。「自分には体力があるから大丈夫」と考えられる方にとっては、新たな挑戦として前向きに取り組める場でもあります。

ただし、長年オフィスワークに従事してきた人にとっては、長時間の立ち仕事や重い物の持ち運びが予想以上に負担となることもあります。体力が必要な分、「やり切った感」や「社会貢献の実感」が得られやすいのも、こうした仕事の魅力ですが、体を動かす仕事を選ぶ際には、自分の健康状態や体力に合わせた働き方を意識し、無理のない範囲で経験を活かせる職場を選ぶことが大切です。

キャリアを「教える側」に変えてみる

自身の経験を活かして、「講師」や「アドバイザー」として新たなキャリアを築く方法もあります。私自身、大学のPBL(Project-Based Learning)で講師を務めています。

PBLでは、学生たちが実際のビジネス課題に取り組む学習スタイルが採用されており、私の役割は現実の仕事で得た経験を題材に、学生たちのディスカッションを導くことです。

実は、私が講師になったのは、自ら大学にPBLの企画を提案したことがきっかけでした。これまでに多くの企画経験を積んでいたことが功を奏し、講師という新たなキャリアの道が開けたのです。このように、特別な資格がなくても、実体験を活かして若い世代の指導に貢献することは十分可能ですし、定年後も続けられるやりがいある仕事の一つとなります。

このような新しい挑戦は、過去の経験をそのままスキルに変え、社会に役立てる道でもあります。。

自分のことをもう一度見直してみる

再就職の場面では、「自分の価値」をどう伝えるかが重要だとよく言われます。「自己ブランディング」とか解るようでよく解らない言葉が指南書にもよく登場しますが、実はそんなに大げさなものではありません。つまり、自分が得意なことや経験を整理して、人にわかりやすく伝えることです。

たとえば、「営業で培った交渉力」や「社内調整の経験」といった、日常的にやってきたことも立派な強みです。無理に大きな成果を語る必要はなく、自分のキャリアを素直に見つめ直し、できることを整理することが大切です。これだけでも、自然と自分の強みが見えてくるはずです。

また、SNSを使った発信も推奨されますが、「自分にはハードルが高い…」と感じる人もいるでしょう。その場合は、まず他の人がどんなふうに自分の価値を発信しているかを観察してみることから始めましょう。

たとえば、LinkedInで似たような経歴を持つ50代の人がどんな投稿をしているのか、どう自己紹介をしているのかを見るだけでも、自分がどこに注力すべきかのヒントになります。
最初から完璧に発信する必要はありません。まずは身近なネットワークに自分の強みやスキルを伝え、それがどう受け取られるかを観察しながら、徐々に外部に広げていけば良いのです

まとめ

今回は、バブル入社組のための現実的な次の働き方戦略についてお伝えしました。厳しい状況はあるかもしれませんが、まずは自分の経験を見直し、スキルとして言語化することから始めてみましょう。さらに、ITスキルの基礎学習をコツコツと進める、といった具体的な行動が大切です。

難しく考えず、明日から、いや今から取り組めることから始めることをお勧めします。小さな一歩でも、続けることで必ず新たな道が見えてきます。

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